〜アクリルレンズへシルクスクリーン印刷〜

アクリルレンズへのシルクスクリーン印刷は、見た目以上に繊細で神経を使う工程です。
今回紹介するのは、黒ベタ(文字抜き)→赤→シルバーの3工程印刷。
一見シンプルに見えますが、実際の現場では多くの注意点と難しさがあります。

まず最大のポイントは、黒ベタの文字抜きです。
黒を全面に刷り、その中で文字部分だけを抜いて表現するこの工程は、仕上がりの印象を大きく左右します。
しかしここが最も難しい工程でもあります。
理由としては、文字のエッジが非常にシビアで、わずかな版の不具合やインキ状態の変化で「欠け」や「滲み」が発生しやすいためです。
さらに厄介なのは、不良が出ていても黒ベタの中に埋もれてしまい、目視で気づきにくい点にあります。

この対策として有効なのが、背景に白の和紙を置く方法です。
黒の中に抜かれた文字がはっきり視認できるようになり、微細な欠けや滲みの検出精度が上がります。
シンプルですが、現場では非常に効果的な工夫です。

次に、印刷後の取り扱いにも注意が必要です。
今回は治具を使用していますが、黒ベタ印刷の特性上、インキ面が広く接触しやすく、治具からの取り外しが難しいという問題があります。
無理に外そうとすると、インキが周囲に付着したり、版ズレのような見え方になってしまうため、インキが他の部分に触れないよう慎重に取り外すことが重要です。

乾燥は自然乾燥で行いますが、ここでも油断はできません。
アクリルレンズは非常にデリケートな素材で、わずかな接触や異物でも簡単に傷がついてしまいます。
そのため、乾燥中・保管中ともに、接触防止や異物混入対策を徹底する必要があります。

赤・シルバーの工程については、黒ベタに比べると難易度はやや下がるものの、位置ズレやインキの乗りムラには引き続き注意が必要です。
特にシルバーは光の反射で見え方が変わるため、角度を変えながらの確認が重要になります。

このように、アクリルレンズへのシルクスクリーン印刷は、版・インキ・作業・検査すべてのバランスが求められる作業です。
中でも黒ベタ文字抜きは品質の要となる工程であり、細かな工夫と確実な確認が仕上がりを大きく左右します。

地味な改善の積み重ねこそが、不良を減らし、安定した品質につながっていきます。

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