
今回は、医療現場で使用される樹脂製カバーへのPAD印刷についてご紹介します。
今回の印刷は、黒と青の2色のロゴマークを印刷する2工程のPAD印刷です。
一見するとシンプルな2色印刷ですが、実際の現場では「インキの静電気」「文字欠け」「ワークの大きさ」など、さまざまな課題があります。
今回使用する樹脂カバーは、生地の色が白。
その白い樹脂カバーに対して、
1. まず黒色のロゴマークを印刷
2. 黒の印刷後、青色のロゴマークを印刷
という2工程で仕上げていきます。
使用するインキは1液タイプのため、2液タイプのインキのように硬化剤を混ぜる必要はありません。
工程をシンプルにできる一方で、白い生地だからこそ、印刷状態のちょっとした変化が目立ちやすくなります。
今回のワークは白色なので、印刷面の状態を確認しやすい反面、インキの静電気による飛びや付着状態の変化、文字の欠けなども非常に目立ちます。
特に医療現場で使用される製品ということもあり、印刷後の検査は重要です。
「印刷できているからOK」ではなく、
・ロゴの形状に問題がないか
・文字が欠けていないか
・インキが余計な場所に付着していないか
・2色それぞれが規定の位置に印刷されているか
など、細かい部分まで確認する必要があります。
そのため、印刷そのものだけではなく、検査にもかなり気を使う製品です。
今回、特に注意が必要なのが文字欠けです。
その原因のひとつが、ロゴマークのすぐ近くにある開口穴。
PAD印刷では、ワークの形状や周辺の構造によって、インキの転移状態が変化することがあります。
今回のようにロゴの近くに穴がある場合、その部分の影響を受けて、印刷時に文字の一部がきれいに転写されず、文字欠けにつながることがあります。
そのため、単純に「PADを押せば印刷できる」というわけではありません。
ワークの形状を確認しながら、PADの状態や印刷条件を調整していく必要があります。
印刷条件を調整しても文字欠けが改善しない場合には、別のアプローチを試します。
そのひとつが、シリコンPADにドライヤーの弱い風を当てる方法です。
インキのPAD離れが悪い場合、シリコンPADからワークへインキがうまく転移せず、文字の一部が欠けてしまうことがあります。
そこで、ドライヤーの弱い風をシリコンPADに当てることで、インキのPAD離れを良くし、転写状態を改善できる場合があります。
もちろん、温度や風量などには注意が必要です。
あくまで印刷条件やインキの状態を確認しながら、**「どうすればインキがきれいにワークへ移るのか」**を考えて調整していきます。
そして、もうひとつ大きな課題になるのが静電気です。
白い樹脂カバーでは、インキの状態が目立ちやすいため、静電気による印刷への影響にも注意が必要です。
ただし、ここについては……
具体的な静電気対策は企業秘密です!汗
PAD印刷では、インキ・PAD・ワーク・周辺環境など、さまざまな条件が印刷品質に影響します。
だからこそ、現場では「経験」と「ノウハウ」が重要になってきます。
大きなワークならではの「振り回し」の難しさ。
今回の印刷で、品質以外にも意外と大変なのがワークの大きさです。
生地のサイズが大きいため、とにかくかさばります。
印刷するためにワークを動かすだけでも場所を取りますし、次の工程へ移動するときにもスペースが必要です。
そのため、印刷作業では単純に印刷機の動きだけを考えるのではなく、
「ワークをどう振り回すか」
という部分も重要になります。
大きなワークを無理に動かしてしまうと、作業性が悪くなったり、周辺の設備や治具などに接触したりする可能性もあります。
そこで、作業者ができるだけ無理なく動かせるように、ワークの持ち方・向き・置き方・印刷後の逃がし方などを工夫します。
PAD印刷では、印刷条件だけでなく、こうした「作業動線」も仕上がりや生産性に関係してきます。
PAD印刷で「こんな形状に印刷できる?」「文字欠けやインキの飛びで困っている」など、お悩みがありましたら、ぜひ一度ご相談ください。







